北朝鮮人権人道ネットワークの代表である。救う会徳島の陶久敏郎代表が緊急声明を出しました。


 「日米は連絡事務所を設置すべきだ」

 共同通信は8月9日、米政権が「北朝鮮と米国双方への連絡事務所設置を模索している」と報じた。平壌に米政府関係者、ワシントンに北朝鮮政府関係者がそれぞれ常駐し、国交のない両国間をつなぐ事実上の大使館のような役割を想定しているという。同通信は、「米国としては当局者間の接触を増やし、政府高官や首脳の会談につなげたい思惑がある。北朝鮮の非核化に向けた取り組みを検証する狙いもある」と分析している。
 一方、東亜日報は8月10日、トランプ米大統領が7日(現地時間)、再選を果たした場合、直ちに北朝鮮と交渉に入ると明らかにしたと報じている。
 両社の記事をつなぎ合わせると、「トランプ米大統領が再選を果たした場合、直ちに北朝鮮と交渉に入り、北朝鮮と米国双方への連絡事務所設置を模索し、平壌に米政府関係者、ワシントンに北朝鮮政府関係者がそれぞれ常駐し、国交のない両国間をつなぐ事実上の大使館のような役割を想定している」ということになろうか。トランプ大統領が再選されれば、米朝関係はこの方針を基軸として動いていく公算は極めて高いものと推測する。
 我が国は、すでに6年前の日朝ストックホルム合意において北朝鮮に連絡事務所の設置に合意していることから、日米同盟を外交施策の基盤としている現状に鑑み、米国に同調して連絡事務所を設置する可能性が高いことは容易に想像できる。日米をはじめどこの国も武力行使によって北朝鮮の核・ミサイルを封じ込めることを求めておらず、今回の共同通信の記事によって、国際的にも外交交渉に基づき、核・ミサイル問題の解決を目指すという姿勢が一段と鮮明になってきたことは論を待たない。
 しかし、今もって国内には、「調査報告書の受け取りや日朝合同調査とそのための連絡事務所設置などは、私たちが求めるものではない」と主張する人々や、「平壌に事務所を設置して話し合いでとか言っている人々を親北派・対北宥和派」と揶揄する人々が存在する。やがて、安倍首相もトランプ大統領も平壌に事務所を設置して話し合いでとか言っていることから、二人とも親北派・対北宥和派だと彼らに非難される日が来るのだろう。
 仮に、彼らが非難しようとも、トランプ大統領の再選後に日米両国が平壌に連絡事務所を設置し、核・ミサイル及びストックホルム合意に基づく日本人の諸問題の解決を目指すことには、国際世論だけでなく、我が国の国民世論の多くがその方針を支持するはずだ。尤も、外交交渉はギブアンドテイクが基本だから我が国の要求が100%達成されるとは限らない。それでも、現実的選択として北朝鮮との外交交渉(話し合い)を早急に模索すべきである。その理由の一つとして、拉致問題をはじめとするストックホルム合意に基づく日本人の諸問題の当事者及び家族には、もはや一刻の猶予もないことを掲げたい。

令和2年(2020年)8月11日

救う会徳島 代表 陶久敏郎